事件現場特殊清掃士とは

事件現場特殊清掃士の必要性

事件現場特殊清掃士の需要

 今後も高齢者の単身世帯は増加し、2020年には、高齢者世帯の約1/3が単身世帯となり、全世帯の13%(8世帯に1世帯)が高齢単身世帯になるという統計も発表されています。
 さらに、厚生労働省の調査によれば、2016年の1人暮らしの高齢者数は、約655万人(推計)で、10年前の約1.6倍にまで増え、核家族化も影響して、孤立死は全国で相次ぎ、特殊清掃業の需要はますます急増していきます。


 また、超高齢化社会で、高齢者のごみ屋敷も増加しており、今後、さらに、事件現場特殊清掃士の仕事が急増し、2045年まで伸び続けると言われております。


 特殊清掃は、自分では対応したくない仕事の一つに属されることでしょう。
 しかし、誰かがやらなければならないことであり、必ず必要となってくる仕事であることは間違いありません。だからこそ、社会から必要とされ、特殊清掃に対する期待が高まり、特殊清掃業界は爆発的に広がっていくことでしょう。
 ですが、特殊清掃に対応するためには、専門家としての知識が必要となります。そのため、専門の知識を持った【事件現場特殊清掃士】が多く必要です。



事件現場特殊清掃士の養成理念

事件現場特殊清掃士の養成理念

 昨今、皆様の耳にも触れることが多くなった「孤立死」。家族が離れて暮らすことも増え、『亡くなったときに周囲に家族がいない』、『身寄りがなく、ご遺体の引き取り手がいない』等といった状況もとても多くなってきました。
 また、「孤立死」や社会問題になり話題となっている「ごみ屋敷」のような、現場となるお部屋や家が悲惨であればあるほど、ご家族は「お部屋を片づけたいのに、片づけられない」、「部屋に踏み入ることもできない」など、気持ちに反して、動くことができないとも言います。

 また、特殊清掃は、料金体系が確立されていないため、同じような現場でもA社は100万円、B社は200万円と倍以上も違う料金が請求される場合があります。


 そうした中で、ご遺族・ご依頼者に代わり、適正価格で安全に作業を行うことを任されるのが「事件現場特殊清掃士」のような専門家なのです。
 現場が悲惨だからこそ、求められる専門家・専門業者であり、使命をもって取り組むことが、ご遺族・ご依頼者のためだけでなく、亡くなった故人の想いを繋ぐことにもなります。


 人の死に直面し、悲しみに浸る状態で行わなくてはならない「特殊清掃」。
 気が動転し、悩み苦しんでいるご遺族・ご依頼者を支え、【誰かがやらなくてはならない仕事】に取り組み、「ごみ屋敷」の清掃等を行うことによって、社会貢献にも繋がり、自分自身も成長していくことができる「特殊清掃業」の専門家として、当センターは「事件現場特殊清掃士」を養成し、社会の一端を担う人材の養成に取り組んで参りたく思っております。

事件現場特殊清掃士の養成理念


1 はじめに

 まずはじめに、ご理解頂きたいことがあります。特殊清掃という言葉から、血液・体液等の腐敗液による異臭などを取り除くことが連想されるように、少なからず業務を行う上では、専門的な知識が必要となります。
 そのため、清掃作業の開始前には「状況に応じて、業務の説明を行う」ことが重要となります。

 ・“どのようなことを行わなければならないのか”
 ・“お客様が満足する結果を出すには、どうすればよいか”
という判断を付けなければなりません。

2 業務を行うときの心構え

 特殊清掃の現場で、異臭を漂わせている部屋へ入るにあたり、念頭で考えなくてはならないことが2つあります。それは「自己防衛」と「近隣・他者への配慮の気持ち」です。

○「自己防衛」
 孤立死の現場では、不用意に何かに触れたことで、感染症を患ってしまうことや、自分が感染症に感染していることに気付かず、他人(第三者)に感染させてしまったり、目などの粘膜にダメージを受けることもあります。
 また、何も考えずに、部屋に入ってしまいますと、今までに嗅いだことの無い臭いを嗅いでしまい、驚かれるケースや、故人がC型肝炎等の感染症を患っていたことを知らずに、床に染み込んだ体液に触れてしまい、同じ感染症を患ってしまうケースもあるため、亡くなった原因が感染症か否かという情報も重要となります。

 『どんな危険が潜んでいるかわからない』と“疑いの目”を持って、対応に臨むことが大切でしょう。

○「近隣・他者への配慮の気持ち」
 特殊清掃の現場後に、そのまま自宅へ帰り、家族や子供たちにも、危険が及ぶかもしれません。
 また、「部屋の換気」もとても大切なことではありますが、換気のために窓を開け、自分自身でも耐えきれていない臭いを広げてしまっては、捉え方によっては、近隣への配慮が足りない行為になってしまう場合もあります。

 自分の身を守ると同時に、自分が行う作業が、「他の誰かに影響を与えることはないか」、「危険を及ぼすことはないか」などという点を常に考えておかなくてはなりません。

3 薬剤の噴霧

 部屋に入室する際は、“消臭・除菌”の作業が大変重要となります。作業を行う前に最初の作業として行っておきましょう。
 臭いの元となる菌をその場で除菌するため、素早く消臭することが可能となります。消臭・除菌作業後、現場に長時間入っていても、問題がない状態となれば、ご依頼に合わせた「清掃業務」を行う段階へと移っていきます。

4 清掃業務、汚染個所撤去

 孤立死のように、長期に渡り、死後そのままの状態でご遺体が放置されていた場合、作業時にはご遺体が無い状態で引き渡されますが、ウジ等の虫がたくさん湧いていたり、腐敗液や汚物等で、床が汚れていることがありますので、害虫の除去をはじめ、各現場の状況に応じた清掃を行いましょう。

 また、室内に残っている家財道具等にも臭いが染み付いていることがあります。床や壁、家財道具等に汚染があった場合には、家財道具のみを処分しても、汚染箇所を撤去、特殊清掃を行ったとは言えません。
 臭いの染み付いてしまった遺品、家財道具の遺品整理とともに、体液で汚染された床、壁などを復旧への負担を最小限に抑えながら解体を行います。

5 薬剤の再噴霧(臭いが取れない場合または、状況に応じて)

 ご遺族のご要望により近付けられるよう、準備した薬品を使用し、消臭・除菌などの作業を行っていきます。
 その際、消臭剤は「噴霧機」を用いて、天井から床部へ吹き付けるように消臭作業を行っていくのが望ましいでしょう。天井から吹きかけていくことにより、壁紙から床へと効率よく噴霧することが出来ます。

 しかしながら、ここでご注意頂きたいのが、ご依頼者が作業を終えた後も、家具などを利用される場合には、天井から万遍なく噴霧してしまうと、使用する薬剤によっては、脱色や変色を生み、継続して利用出来ない状態となることにも繋がります。

 その為、必要なものに薬剤がかからないよう、マスキング処理(作業箇所以外を汚さないためにテープ貼る作業)を施すことも必要でしょう。今後、使用されるか否かも配慮しながら、作業一つ一つに注意を払い、お客様が
満足するまでが仕事と心がけましょう。


6 退室後

 最後に、現場を退室される際、必ず行って頂きたいことが、自分たちへの「除菌・消臭」作業です。なぜなら、自分が起点となり、周囲に危険が及ぶかもかもしれない等、私たちの1つの不注意でどんなことが起こりうるか、想像がつかないからです。
 着ていた作業着は袋を2重にして廃棄し、髪の毛や顔をはじめ、身体の中で、現場に直接触れた部分には、しっかりと除菌・消臭を行っておく必要があります。また、現場からの退室時は、菌や感染症予防のためにも怠ることなく、行うことが重要と言えます。

事件現場特殊清掃士の活動

1「故人の最期を任される責任」

 激増する需要に対し、適切に対応していく人材を育成し、さらに、特殊清掃を行う方自身も、安全に業務ができる専門家としての活動を行っていきます。

2「正しい知識と対応」

 資格認定を通じて、特殊清掃に関する知識や対応を正しく学びましょう。消臭等に使用する『次亜塩素酸ナトリウム』『二酸化塩素』等の溶液の使い方や、『コーティング消臭』『オゾン脱臭』等の消臭方法は間違った使い方をすると、傷や変色・脱色する可能性があります。

資格認定は、法令に遵守した正しい理解、正しい処理を行うことを目的とします。

3「実務の流れ」

 実際に行われた業務の事例より、実務に向けた心構えや留意点を理解し、より円滑に作業を行うことが可能となります。

4「特殊清掃業界の健全化」

 資格認定を行うことにより、特殊清掃業に一定のガイドラインを定め、正しい業務の徹底に努めることで、 特殊清掃業界の健全化を図ります。



事件現場特殊清掃士の活動 事件現場特殊清掃士の活動 事件現場特殊清掃士の活動 事件現場特殊清掃士の活動

 人の命を支える仕事、私たちの勇気を守る仕事、一緒に事件現場特殊清掃士になって、力を合わせて取り組んでみませんか。